長距離の引越しで注意が必要なことに荷物の「紛失」があります。
紛失など起こりようもないと思うのは引越しの現場をしらないからであって、引越しの裏事情を見れば「紛失」は起こるのだろうと実感できるといえます。
長距離の引越しは積み替えする
大手の引越し業者や日本通運などに代表される運送系の引越し業者は引越しが長距離の場合に荷物を積み替える事があります。
通常では引越し作業は荷物を積んだトラックでそのまま移動して引越し先で搬入することになります。しかし長距離の場合には積んだトラックがそのまま移動することは人員のロスと燃料代や高速料金のロスが大きくなります。
当然ですが1台のトラックで1件の荷物を運搬するよりも1台で2件や3件と荷物をまとめて積んだほうが運転する人員の削減や燃料代と高速料金の節約になります。
その為に長距離の引越しに関しては1台の大きなトラック(大型トラック)に複数の同一方向の荷物をまとめて運搬します。宅急便の荷物が多いバージョンだと思って頂ければ分かりやすいかもしれません。ちなみにこの様な運搬方法を「混載」や「混載便」と言います。
まとめて積む事(混載便)の弊害
1台の大型車に数件の引越し荷物をまとめて運ぶのは引越し業者にとってはメリットがありますが、客としての立場ではどうでしょうか?確かに引越し代金が安くなる要素であることには間違いありませんが「引越し代金」以外の事ではメリットはひとつもないと言えます。
さきほど「宅急便の荷物が多いバージョン」と説明しましたが宅急便であれば荷物1個1個に差出人と送り先が記入された「送り状」が貼ってあります。その為に荷物が間違って違う場所に配達されることはありません。
しかし引越しの荷物は1個1個の荷物に「送り状」は貼ってはいなのです。そのような状態で1台のトラックに複数の客の引越し荷物をまとめて積めば、誤って他の荷物に混ざることも可能性としてはゼロではありません。
普通は注意をして荷物が混ざらないようにしていますが3月4月などの繁忙期には引越し件数が通常の時期の倍以上になります。そのような忙しい状況では人為的なミスが起こる可能性が飛躍的に上がるのです。
作業に携わる従業員も短期アルバイトや派遣スタッフが増えます、日頃から引越し作業やトラックの積み換え作業をしていない人員であるためにミスが起こりやすくなります。つまり「人為的ミス」により別の行き先の荷物に混ざるような事が起きるのです。
ミスの防止はむずかしい
この様な荷物が混ざるトラブルは完ぺきに無くすことは不可能です。各社さまざまな防止策を取っていますが1台のトラックに荷物を積んでそのまま貸し切りで引越し先まで届ける「チャーター便」と比較すれば人為的ミスは絶対的にゼロにはならないことを理解できると思います。
もし荷物の紛失の可能性を極力ゼロにしたいのであれば荷物を混載しない「チャーター便」で手配するしかありません。ただし長距離をチャーターで行っていない引越し業者もありますので確認が必要です。
特に引越しの繁忙期に関しては通常時期「チャーター便」で運んでいる引越し業者も「混載便」に切り替えている場合がありますので注意をして下さい。
作業員が変わる弊害
「チャーター便」では荷物を積む時と引越し先で搬入する時は作業員の大半は同じ人員となります。それは基本的に作業責任者はトラックの運転までする為です。
その為にチャーター便では引越しが完了するまで同一の作業責任者が作業をするので安心できると言えます。
荷物がどの様な状況であったか、分解した家具の状況や組み立ても理解していると言えます。注意するべき荷物のことも把握しているので客の立場としてはメリットが多いのはチャーター便でしょう。
しかし効率の良さから行われる「混載便」は基本的にスタッフは総入れ替えになります。宅急便と同じで積んだ場所の作業員が遠方の地までついてくるような事はしません。
その為に引越しの荷物について理解していない人員で引越し作業を行うことになります。当然申し送りはしているので注意点は伝達されていると思いますが、正直な話しですが完ぺきとは言えないでしょう。
しっかりした作業が要望であれば「チャーター便」で長距離を運んでくれる引越し業者を探す必要があります。ただし引越し繁忙期である3月4月に関しては大手引越し業者では難しいかもしれません。
繁忙期は「混載便」により料金がかなり抑えられる傾向があるので料金と安心感を天秤にかけて考える必要があります。
場合によっては倍近く料金が変わることもありますのでしっかりと引越し業者に確認を取りましょう。