引越しは無事に完了するのが当然ですが、こちらの思惑とは違い引越し業者による破損は後を絶ちません。
破損には家電製品もあればタンスなどの家具もあります。それこそ新居の床や壁を傷つけられることもあります。
破損が起きたときの対応に不備は無いのかも、消費者にとって心配なことのひとつと言えます。
引越しのときに起こる破損はどの様に対応されるのか?
まず引越しで起こる破損の中でも特に多い家具について対応方法を見ていきます。
家具の破損に関しては基本的に修理を行います。引越し業者に壊されたとしても買い替えなどの措置は原則おこなわれません。
イメージとしては車の事故と同様に思ってください。車は他人にぶつけられたとしても修理しか行いません。ひどい事故で車が使用できない状態である全損状態になっても車が新品になる事はありません。
社会的に考えれば破損を起こす側の権利も保証されているので、全損状態であっても今現在においての価値までしか保証されないのです。
家具の修理に完璧は無い
引越し業者は修理に関して「きれいに直ります」と説明をすると思いますが、実際のところきれいに直ることはありません。
修理業者によって技術の差があるのでほとんど傷が分からないように修理できる場合もありますが全部の修理業者に技術のすぐれた人がいるわけではありません。
仮に評判の良い修理業者であっても従業員によって技量の差はあります。10年のベテランと入社間も無い従業員では技術には歴然の差がでます。
やり直しは当然のようにおこる
家具の破損には関しては修理をしてもやり直しになることが非常に多いと言えます。修理業者によっては、信じられないようなひどい状態で納品してくる場合があります。
直した箇所を見てあきらかに補修と分かるひどい作業が往々にして起こっています。その場合でも引越し業者としてはお客様の元にお届けしなくてはなりません。
しかしお客様に修理状態を見てもらった瞬間に激怒されることもかなりの頻度で起こっているのも事実です。
破損クレームの選択肢は5つ
- 謝罪して仕上がりの悪い状態で受け入れてもらう
- 仕上がりの悪い状態での家具を受け入れてもらい、プラス示談金を上乗せする
- 修理を再度おこなう
- 修理する物は引越し会社が引き取り買い直しの足しになる示談金を払う
- 新品に買い換える
1.謝罪して仕上がりの悪い状態でを受け入れてもらう
引越し会社がまず行うことは当然ですが仕上がりが悪くても許してもらうことです。引越し会社としても余分なお金は払いたくはありません。
破損に関しても「現状復帰」が原則です、使用するに支障がなければ多少見た目が悪くても問題ないというのが言い分になります。
修理は完全に元には戻らないのは当然であり、復旧の努力は最大限に行ったというわけです。
この段階で気の弱い方は何も言えずに終わってしまうでしょう。
2.仕上がりの悪い状態での家具を受け入れてもらい、プラス示談金を上乗せする
示談金を少しだけ上乗せすることも常套手段です。
納得がいかない補修状態に示談金を上乗せして和解に持込みます。金額にして数千円が相場だと思います。3000円の場合もあれば5000円の場合もあります。
よほど高額な家具でない場合は5000円が上限と考えた方が良いでしょう。ただし高額な婚礼家具などは示談金に数万円を上乗せすることもあります。
引越し会社としては早期に解決したいので多少であれば示談金にを払ってでも解決したいのです。
3.修理を再度おこなう
問題は修理を再度おこなうことです。
正直な話、修理では永遠に元どおりにはなりません。しかし思い入れのある家具は完璧に直したいと思うのは壊された者から言えば当然のことです。
ただし、どれだけ時間をかけても一度壊れた家具が元に戻ることは永遠にありません。
引越し業者としては「とにかく元に戻せ」という言葉が一番対応に困ると言えるでしょう。
「お金じゃなく元には戻してほしい」破損トラブルで長期化する内容はこの場合といえます。
4.修理する物は引越し会社が引き取り、買い直しの足しになる示談金を払う
引越し業者としては最終手段といえます。
ここまでの提案になるには「元に戻してほしい」という要望に対しての対応策が金銭で解決するしか無いのです。
しかしここでの問題はいくらで示談するかです。当然ですが購入金額が支払われることはありません。現在の価値の残価を算出して提示金額が出るのです。
正直な話ですが納得できる金額の提示はでないと言えます。
引越し業者としては破損の度に高額な示談金を払っていては大変な事になります。会社の収益を圧迫するので最小限に抑えるといえます。
中には従業員が弁済するケースも少なからず行われています。会社はすべての破損に対して対応はできないのが現実です。破損に対してお金の流失を最小限に抑える事が仕事のうちとも考える事ができます。
クレーム対応こそが引越し会社の管理職に求められるスキルとも言えるのが現実です。
そのような状態で最終的に納得できる金額提示が出るかは交渉次第と言えるでしょう。
ただ肝に銘じておく事に、あまりにも法外な金額を求めると引越し業者としても拒否の意向を示すことになります。
法外な金額の要求は裁判でも勝つことはできないので注意が必要といえます。
5.新品に買い換える
新品に買い換えるのは金額の安い物に関してはハードルが低いといえます。
例えば3000円の家具なら買い直したほうが安く済み、破損トラブルの早期解決になるので話は早いでしょう。
しかし問題は高額な家具の場合、買い換えになることはまずありません。
その場合の交渉は難航すると言えるので買い換えの要求はあまり得策ではありません。破損を起こされ悔しい気持ちも分かりますが、高額な家具を新品にすることは現実的に不可能といえます。
破損トラブルの対応に失敗しないためには
金銭を目的に交渉すると多くは失敗するでしょう。
破損トラブルは最初のうちは純粋に、家具を直して欲しいというスタンスで進めていくはずです。
しかし途中から「欲」が出る方が非常に多いのです。「こちらは被害者だから引越し業者からお金が取れる」と考えると引越し業者にも伝わります。
破損トラブルは年中起こっています。皆さんが思うよりたくさんのトラブルを抱えているので「金銭目当て」の人とは戦う姿勢が色濃くなります。
最初は被害者であっても、途中からいかにお金を引き出させるかと考えるのは、思いとどまった方が賢明でしょう。
「金銭目当て」で交渉すると引越し業者が有利
引越し業者としては「金銭目当て」の場合は対応が容易になります。抱えている弁護士や法の話しで進めることができます。
引越し業者は「元に戻して欲しい」と感情に訴えられるより「金出せ」というスタンスの方が「法律」を盾にできるので対応が容易といえます。
相手の「金銭的要求」にまったく応えず修理だけで決着がついた例は山ほどあります。
1年以上解決に要したこともあります。1年以上も引越し業者を相手に「金銭の要求」をした結果は家具の補修だけで終わりでした。
その間、1年間をこす時間も家具は引越し業者の倉庫で眠っていました。こんな事例はあまり無いと思いますが客側には何のメリットもありません。
破損が起これば引越し業者と話し合わなければなりませんが「金銭の要求」が目的にならないように交渉する必要があります。
重要なことは破損が起きないためにどうするか
破損が起きれば引越し業者とのやりとり、交渉が大変になります。
一番良いのは破損が出ないためにはどうするか、その為にはどのような対策をするかを前もって考える必要があるでしょう。
破損を防止する記事はこちら
引越し業者によって破損がでる可能性を無くすためにはどうすれば良いのか?
そんな疑問にお答えする記事を参考にどうぞ。