引越しの際にいろいろ注意点がありますが、この時期は特に気をつける必要があるものに「石油ストーブ」があります。
しっかりと引越し業者からの注意事項を守らないと、ストーブは運搬してもらえないので注意しましょう。
危険物は運搬出来ません
間違って捉えてしまいますが、運搬できない物は厳密に言えば「石油ストーブ」では無く「灯油」です。
つまり「灯油」が入っている「石油ストーブ」が運搬出来ないのであって、「灯油」の入っていない「石油ストーブ」は運搬可能と言うことです。
灯油自体は引火する可能性のある危険物になりますので、引越し業者は運搬を拒絶する事が出来ます。実際にこれは拒絶出来ると言うより運んでは問題が有ると言った方が良いと思います。
灯油による危険と液漏れによる「汚損」
一番の問題点は灯油の危険性ですが、もう一つの問題点があります。
灯油が漏れて起こる「汚損」です。聞きなれない単語と思いますが実際はどんな事なのでしょうか、実例を元に説明をしたいと思います。
石油ストーブは振動に弱い
実際に石油ストーブは振動に非常に弱く、灯油の入ったままトラックで運搬すると液漏れを起こします。
この場合の液漏れは「灯油」の事になります。トラックの運搬で液漏れが起きれば他の荷物に灯油が付いてしまいます。灯油が付着すると簡単には落ちません、それこそ使えなくなる物も多くありますので運搬には注意が必要なのです。
この様に汚してしまい物を駄目にすることを「汚損」と言います。
引越し業者は運搬を拒絶できる
引越し業者とお客様は国土交通省告示の「標準引越運送約款」の取り決めを交わさなくてはなりません。
この内容は引越し業者が勝手に決めたルールではありません。
国土交通省が告示したものです。
「標準引越運送約款」の中で灯油に該当する項目は以下の通りとなりますので参考にして下さい。
第三章 運送の引受け
(引受拒絶)
第四条 当店は、次の各号の一に該当する場合には、引越運送の引受けを拒絶
することがあります。2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを
拒絶することがあります。
一 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等荷
送人において携帯することのできる貴重品
二 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあ
るもの
三 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要する
ため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
四 申込者が第八条第一項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又
は同条第二項の規定による点検の同意を与えないもの国土交通省ホームページより
上記内容の赤字の部分が「灯油」に該当すると解釈が出来ます。当然「灯油」が入ったままの石油ストーブも該当する事は普通に考えて妥当な事なのです。
では引越し当日に引越し業者に運搬を拒絶されてしまうと大変な事になりますので、「灯油」を使い切る必要があります。間違っても少しなら残っていても大丈夫と言う考えは捨てる様にして下さい。
どうすれば良いの?
まず計画的に「灯油」を引越し当日までに使い切る様にして下さい。
そして一番の注意点ですが、必ず「石油ストーブ」は使い続けて自然に火が消えるまで「空焚き」をして下さい。
この「空焚き」をしないとストーブの中に灯油が残っている為に、少量でも漏れ出してしまいます。
つまり危険である事と「汚損」の可能性がある為に本来は運搬を拒絶される内容になるのです。
しかし引越し業者に灯油は「空」と申告すれば通るかもしれませんが、その結果「汚損」が起きた場合は損害を請求できません。
損害を請求出来ないどころか、引越し業者の資材やトラックも汚損しますので、逆に損害賠償を請求される可能性があります。
石油ストーブの中の灯油が「空」と申告したのなら虚偽の申告と言うことになるからです。
まとめ
灯油は計画的に引越し当日までに使い切ること。
石油ストーブは必ず燃え尽きるまで「空焚き」をすること。
安易な考えで当日まで「灯油」を残していると、大変な目にあいます。
実際に石油ストーブを引越し業者に運んでもらえないために、苦労するひとの割合はけっこうな数になります。
必ず引越し業者はトラブルになるので、「灯油」については事前説明をするようにしています。
しかし、甘く見るひとがあとを絶ちません。絶対に引越し当日までにストーブは空になるようにしましょう。