引越しの見積もりでトラブルが多い事が、営業マンの勢いが凄いために契約してしまい後からキャンセルが出来るかという事です。
とくに女性の方は、営業マンの押しが強いので怖くて契約したという方を聞きます。
そんな不本意で契約をしたことを、撤回することは可能なんでしょうか?
引越し業者の強引な営業スタイルの弊害
引越し業界の見積もりは非常に強引な営業を多く見かけます、特に大手引越専業の会社や中小の会社に多くみられます。
引越しの見積もりは短期で契約に至ることが多く、短期決戦型と言えるもので長期間掛けて見積もりと提案を繰り返すものではありません。
そのために平均1時間ほどの見積もり時間の提案で数社の提案を聞いていくことになります。どこの引越し業者も複数回も見積もりに来る事はなく、一度の訪問で契約まで至ることが通常の事となるのです。
その為にお客様も、よく考える事が出来ない状態で引越し業者に契約を迫られた為に、契約をしてしまう事が多く発生するのです。
あとで後悔をする
営業マンに勢いよく迫られ契約してしまうため、あとから後悔がでる事になります。
その場は良いと思い契約をしたのですが、契約後の手配や対応があまりにも悪く、引越し業者を変える方はそれなりの数があるのです。
ただしその際はトラブルに発展する事がありますので注意が必要になります。
トラブルの内容は下記の様なものが有ります。
- しつこく自宅に押しかけられて困る
- しつこく電話連絡が絶えない
- キャンセル料を法外に請求される
- 今までに掛かった経費を請求される
キャンセルの内容にもよりますが、一般的に困る内容としては、キャンセルを伝えても中々諦めてくれない業者がある事です。
仕事中や朝晩問わず電話や訪問されてしまい、引越し前に疲れ切ってしまう事になります。
法外なキャンセル料を請求される
通常のキャンセル料は規定がしっかりとあります。
国土交通省が告示した「標準引越運送約款」に基づきキャンセル料金は決められています。キャンセル料が発生する日にちも規定があるのです。
キャンセル料規定
国土交通省告示「標準引越運送約款」
第八章 運賃等
(解約手数料又は延期手数料等)
第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
2 前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
一 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の十パーセント以内
二 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の二十パーセント以内
3 解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。
4 第一項ただし書の規定は、前項の費用の収受について準用します。参考国土交通省HP 標準引越運送約款
上記の様に国土交通省により決められていますので、規定を勝手に変更して請求は出来ないのです。
ただし「標準引越運送約款」に基づく引越し会社が多いと思いますが、独自の約款で運営している会社もありますので注意が必要です、まずは契約した会社の「約款」を確認してみる必要があります。
ただし独自の「約款」は国土交通省に届出をする必要があります。「約款」の提示は引越し業者の義務となりますので、必ず「約款」を確認しましょう。
引越しのキャンセル料で請求されるもの
引越し代金に関しては「標準引越運送約款」に記載が有るように、引越し当日で運賃の20%引越し前日で運賃の10%までしか引越し業者は請求できません。
キャンセル料を請求される割合
- 引越し当日 運賃の20%まで
- 引越し前日 運賃の10%まで
- 引越し2日前 無料
ここで注意が必要な点は「運賃」からしかキャンセル料は発生しないという事です。
引越し代金全額の20%・10%という意味合いではありませんので注意が必要です。あくまでも「運賃」の20%・10%という事になるのです。
引越料金の内訳
引越し料金の総額の内訳は厳密にいうと次のようになります。
- 運賃(トラックの使用料金)
- 料金(休日割増・深夜早朝割増等)
- 実費(荷づくり・作業員・資材費・有料道路利用料等)
- 附帯サービス(電気工事等)
詳しくは割愛しますが、引越しのキャンセル料は基本的に「運賃」に掛かります。
ただしエアコン工事などの附帯サービスが行われていれば、当然ですがその料金は支払う必要があります。
あとは引越し業者の配った、ダンボールなどの資材に関しても、未使用であれば返品ができますが、使用した場合には買い取る必要があります。
運賃内訳
運賃に関しては「時間制」の場合もありますが、ここでは一番使われている「距離制」の場合を見ていきます。
1トン超え 2トン車まで |
3トン超え 4トン車まで |
5トン超え 6トン車まで |
||||
上限 | 下限 | 上限 | 下限 | 上限 | 下限 | |
100kmを超え110kmまで | 37,560 | 25,040 | 42,740 | 28,500 | 51,970 | 34,650 |
140kmを超え150kmまで | 43,850 | 29,230 | 49,940 | 33,300 | 60,720 | 40,480 |
190kmを超え200kmまで | 51,720 | 34,480 | 58,910 | 39,270 | 71,620 | 47,740 |
200kmを超え500kmまで 20kmまでを増すごとに |
2,760 | 1,840 | 3,160 | 2,100 | 3,860 | 2,580 |
500kmを超え 50kmまでを増すごとに |
6,940 | 4,620 | 7,870 | 5,250 | 9,640 | 6,420 |
仮に100kmの移動が発生する引越しを4トン車で行った場合には、運賃は最大42,740円かかります。
そこに作業員の実費などを入れると8万円~10万円くらいにはなります。
しかし、キャンセルを引越しの当日にした場合には、全体の金額ではなく「運賃」に対して20%がキャンセル料となります。
つまり、附帯サービスや資材の使用がなければ、10万円や20万円の引越しであろうとも、次のようなキャンセル料になります。
- 42,740円×20%=8,548円
4トン車のキャンセル料金が引越し当日でも1万円もかからないとは、なかなか凄い業界です。
旅行業界などでは当日のキャンセル料50%は当たり前です。10万円の旅行であれば5万円のキャンセル代金と考えると、この差は凄いと言えます。
だから引越し屋は、ダンボールをスグに配ってキャンセル時に請求したりするんだよね
キャンセル料以外で必要な代金
作業を実施した物、使用した物は実費が掛かるので、当然ですが支払う必要があります。
具体的にはエアコンの工事やダンボールを使用した場合は、返品が効かない為に購入する必要がありますので注意して下さい。
引越しのダンボールは無償で提供するものではない
ダンボールは通常有料販売の物を契約者に対して配る資材となりますので、キャンセルすれば当然返却する必要があるのです。
使用して返却できない場合は購入する必要があるという事です。
断る時はキッパリと
優柔不断な態度でキャンセルをするとしつこく訪問や、電話連絡を受ける事がありますので、キッパリと「気に入った業者がある」と伝えましょう。
「良い提案があった」「お値打ちにしてもらえた」などの理由では諦めない業者が多くあります、それこそ営業マンは成績に関わってくるために、キャンセルを止める事には必死なのです。
相手に交渉することが出来る要素を残しては長引く可能性がありますので、キッパリと「気に入った業者がある」と伝えましょう。
もっと良い断り文句は「高かったかど、気に入った営業マンがいる」と伝えた方が何も反論出来ないと思いますので参考にして下さい。
営業マンとしてはこの言葉は完全敗北となる究極の言葉なのです。
完全敗北で反論できないからねw
モラルを持った断り方
インターネット上に「引越し業者を値引きさせるマニュアル」の様なものは多く見かけます。どれも感心する事が多いのですが、首をかしげる様なモラルの無い事を紹介している内容を見かけます。
信じられないですが、次のような文章が掲載されているサイトがありました。
引越し業者は取りあえず契約してキープします、その後他の業者に見積もりを取り契約した業者の見積もり書を元に交渉します。
キャンセルはギリギリ引越しの2日前まではキャンセル料を取られないので、引越し業者は文句を言えないのです。賢い消費者になりましょう
引越し業者としては気分の良い内容ではありません。当然の権利といえば権利である事は事実です、しかし「モラル」はそこに有るのでしょうか?
「ネット」の中の文章ではまだ支障もないとは思いますが、現実世界では会って話しをした相手な訳ですので如何なものでしょうか。
引越し業者にとって2日前にキャンセルが入ってそのトラックの穴埋めは、普通に考えて出来ない事くらいは判ると思います。
自己の利益しか考えないような「値引きのコツ」を、自慢げに紹介しているサイトを見かける事は残念で仕方がないです。
確かに「賢い」です、法では正当な権利ですがそこで泣く者が出ることを考えない事は、いくらネットの世界でも「モラル」の崩壊であると思います。
キャンセルは当然の権利ですが、連絡は一刻も早くに伝えることが最低限必要なことではないでしょうか。
まとめ
引越しのキャンセルは引越し日の2日前まではキャンセル料はかかりませんが、キャンセルは日程的に余裕を持って伝える様にしましょう。
キャンセルする際はキッパリと断りましょう、中途半端にキャンセルをすると諦めてくれない業者もありますので注意してください。
参考記事
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引越しの見積もり依頼の断り方ってどうするの?
credit: david anderson : da-photography via FindCC 引越しの比較の為に多くの業者を呼んでしまう事はよくあることですが、多く呼んで一番困る事は断りを入れ ...