引越し運搬方法は基本的に全部の家財を運搬することですが、中には荷物を限定して運ぶ事もあります。
限定した荷物を運ぶことについて、メリットとデメリットを見ていきます。
通常の引越しは全部の荷物を積む「全積み」
引越しを考える際に家財一式全部の運搬になることが一般的です。引越し業者としても通常の提案は全部の荷物の運搬を前提に話しを進めます。
全部の荷物を運ぶ契約を「全積み」といいます
本来は「全積み」が引越しのプランの基本となる為に、普通は気にすることはないと思いますが、お客様の要望や生活スタイルにより一部の運搬だけをする引越しプランがあります。
プランの呼び方は引越し業者各社変わる場合があると思いますが、ここでは「リスト分」と呼んでいきます。
「リスト分」運搬とは
今ある家財の一部だけを別の場所に移動したい場合に、例えば「冷蔵庫、洗濯機、テレビ」の3点のみを別の場所で使うために移動する様なことを「リスト分」運搬と言います。
知り合いの方に家具を1点譲渡したような場合も「リスト分」の運搬に該当します。宅配の延長線上にあるような形式になります。
当然荷物が限定的になりますので、料金的のもお値打ちに提案をしているのです。
契約上の注意点
「リスト分」とはその読んだ字のごとく、見積書にある家財のリストの物しか運びません。当然ですがどんな小さい荷物でもリストに無ければ運ばないのです。
引越し業者にしてみれば「リスト分」契約して金額をお値打ちにしているはずが、引越し当日にアレコレと荷物が増えていけば時間が掛かります、トラックに乗らない可能性もあります。当日に荷物を乗せて欲しいのであれば「リスト分」契約は成立しないのです。
引越し当日は「リスト分」以外は一切運んで貰えないことを考えて契約をしましょう。
時折「リスト分」以外を運ばない事に文句を言う方がいますが、それはあまりにも無理があるのです。自己責任が問われる事が「リスト分」契約であることを踏まえて考える必要があります。
トラックを所有している為に大きな物だけを依頼する「リスト分」
例として全体の荷物量が4トン分あるが、小物は自分の所有するトラックで運ぶために3トンの「リスト分」にする事があります。
個人では運搬する事が困難な大物だけを引越し業者に依頼することにより、トラックサイズが小さくなり料金的にお値打ちになるメリットがあります。
一般の方は要注意の「リスト分」
自分で荷物を運搬する事を安易に考えてしまうことは危険です。
個人で荷物を運搬する事はダンボール数箱程度の場合は何も問題はないのですが、トラックサイズを1サイズ下げるという事は単純に1トン分の荷物は自分自身で運ばなくてはなりません。
1トン分の荷物はどれくらいか
畳に換算して1.5畳ほどになります。
それも天井まで積み上げた形での計算となりますので相当な量になるのです。自家用車での運搬では数往復するだけでは荷物を運ぶ事は出来ませんので注意が必要です。
中には4トンの荷物量を2トンの「リスト分」にする猛者もいる。
2トン分の荷物量は畳3畳分ほどになります、それも天井まで積み上げた量は個人で運ぶにはかなりの時間が必要になりますので、トラックが有るなどの運搬手段が無ければ安易には考えては危険ですので良く考えて決める必要があります。
想像以上に大変な「リスト分」運搬
「リスト分」にする事がお客様の要望であり、自分で運ぶリスクを分かっているのであれば良いのですが、引越し業者からの提案で「リスト分」を勧められた場合はよく考える必要があります。
引越し業者からすれば1トン分や2トン分の運搬はそれこそすぐに運ぶ事が出来ます。しかし個人で運ぶとなるとそうは行きません。荷物の運搬は慣れた引越し作業員でも体力的には相当大変であるのです。
その労働内容はアルバイトによっては入社して1日で退職する者が出るほどの体を酷使する仕事なのです。一般の方が安易に片手間で運べるようなものではありません。
トラブルの多い「リスト分」
お客様の要望で「リスト分」にした場合もありますが、リスト分の提案で多い事が営業マンの誘導による提案が多い事です。
営業力の無さをカバーする為に用いる「リスト分」
営業マンはベテランもいれば経験が少ない者、営業力が無い者といろいろ居ます。引越し業者の多くと競合する為に金額を安くしなくては他社と戦う事が出来ない営業マンが多く存在します。
引越しをするユーザーに対してベストな提案を考える事が営業のはずが、他社の営業マンに勝つために「安い金額提示」を一番に考える様になっていると思います。確かに金額は重要な部分になりますが、お客様にとって良い提案を考えた中で最終的に金額の折り合いのつくところが良いプランである様に思うのです。
営業マン主体で出す「リスト分」の弊害
お客様が自分で荷物を運べるか運べないかを考えて「リスト分」にしている訳ではない為に色々とトラブルが発生しています。
荷物が運びきれない
ひどい営業マンの場合、金額を安くするために荷物量が8トン分ある方に対して、4トン分のリスト分契約をするひどい営業マンもいます。当然荷物が運び切れなくなり追加でトラックを依頼する事になった為に、かえって料金が高くなる事になるのです。
営業マンとしてはお客様が自分自身で運べる状況なのか、そうではないのかを考え提案する事が求められているのですが、金額重視になるあまりこの様な形も出てしまうのです。
良い営業マンは「リスト分」の提案はよく話し合ってから
「全積み」と「リスト分」とのメリット、デメリットをしっかりと提案してお客様に決めて頂く事が優秀な営業マンです。
お客様としては自分自身が荷物を運搬できるか良く考えて結論を出すのです。営業マンからお値打ちになりますよと言う安易な提案ではなく、自分の考えで結論を出せるように促す事ができるのが良い営業であるのです。
ほとんどの荷物を自分自身で運ぶ方もいる
「リスト分」は自分で荷物を運搬できる方にとっては大変お値打ちになるプランです。8トン分の荷物量があったお客様が引越し当日までに5トン分運んでしまい、3トン分しか残っていなかった様な猛者もいるのです。この様な方にとっては「リスト分」は願ってもないプランかもしれません。
リスト分に適している方
問題なく自分で運搬できた方は以下の様な場合です。どれかに当てはまれば「リスト分」にするメリットはあると思いますが、労力は大変掛かりますのでよく考えて決断して下さい。
- 引越し先がすぐ近く
- トラックを持っている
- 運搬する時間に余裕が毎日ある
- 引越し日まで余裕がある
- 自営業で手伝う人がいる
- 立地条件が1階
まとめ
引越しとは基本的に「全積み」であるのですが、場合により「リスト分」契約を行います。ただし金額だけを見て計画性もなく「リスト分」にすることは避けた方が無難です。
営業マンが「契約だけ」を取りに来ているのか、「良いプランをお値打ち」に提案しているのかを見極めて最終的には契約をしましょう。
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