引越し時に運搬する荷物の中で意外と大変な物として「植木」があります。
植木に関しては、引越しの当日まで意識することは稀です。
しかし、引越し当日に積み込みの大変さに気付くことになります。
引越しの荷物をトラックへ積み込むときの基本
引越しの荷物はトラックの荷台に対して天井まで積み上げる必要が有ります。その為には細かい物は基本的にダンボールへ荷造りする必要があります。
ダンボールの状態になれば天井まで積み上げる事が可能になりますので、トラックの荷台への積み込み効率が上がり、より小さなトラックでの積み込みが可能となります。
細かい物がダンボールに入っていない場合はトラックに積み込みができない為に運搬を断る事があるのです。
取り扱いが大変な植木
トラックへの積み込みは天井まで積み上げると考えると「植木」の扱いはどうなるのかを考えて行きます。
ダンボールの中に入れる発想がない植木
植木に関してはダンボールに入るという発想は基本的に無い事が普通です。
当然ですがダンボールに箱詰めされていない植木は積み上げる事が出来ない為にトラックの荷台の中で平積みする必要が出てきます。
引越しのトラックは平積みが出来ない
少しくらいの植木なら平積みすれば良いではないかと思う方は多いと思いますが、実情ではかなり厳しい話しになります。
もしも植木部分だけ平積みするとその周りの荷物が高く積み上がっていれば雪崩のように荷物が植木のスペースに倒れてくる事になるのです。
トラックの荷台の中は全ての荷物同士が支えあう形となり、荷物同士が壁の役割をする為に高い位置まで積み込みが出来るのです。1箇所でもその役割を果たさなければトラックが移動する際には簡単に荷物が倒れてしまうのです。
積み込み出来る荷物量は大幅に減少する
荷崩れしない為には一番ベストな積み方は全ての荷物を積み上げず、全ての荷物を平積みする事です。
但しこの方法は現実的ではないでしょう。本当に全ての荷物を平積みすれば本来積めるはずの荷物量の半分も積めなくなるのです。
現実的にはどうすれば良いのか
ダンボールに入る植木は全て箱詰めする事で他の荷物と近い条件で積み込む事が可能になります。但し全く同じ条件と言う訳にはいきません。
なぜなら植木は重量がある為にダンボールの中に入れても高い位置に積み込む事ができません。逆に一番下なら良いのではと思われる方が多いと思いますが、一番下の位置も難しくなります。
3~4段積み上げるのであれば支障は有りませんが、天井まで積み上げるとなるとダンボールの強度が不足するのです。
ダンボールの強度は中に詰め込む荷物が圧力を分散するのです。中身の荷物とダンボール全てで重量を支えると考えた方が分かりやすいと思います。
その為にはダンボールの中身が箱の中で隅々まで入っている必要があります。
植木の場合はダンボールに入れたとしても箱の中は空間だらけになるのです。つまり上から掛かる重量を耐える事は難しく、ペラペラなダンボールの枠だけで支えなくてはならないのです。
簡単に表現すれば空のダンボール箱の上に重たい荷物を積み重ねることになる為に3・4段の積み上げ程度が限界になるのです。
具体的な対策
一番良い方法は植木に関しては自分で運ぶ事です。
自分自身で植木を運搬すれば間違いなくトラックに積める他の荷物量は劇的に増えることになります。但し可能な方ばかりではない為にその他の方法も考える必要があります。
強度のあるダンボールに入れる
ダンボールの強度はそれほど強くは有りませんが、少しの工夫で強度が増します。
ちょっと無理やりになりますがダンボール箱を2枚重ねる方法です。通常で箱の口を開けた状態のダンボールを2つ作ります。ひとつの箱の中に植木を入れた後で、もうひとつ作った口開きのダンボールを上から被せるようにします。
植木を入れた箱に対して空の箱が上から包み込むように被せるのです。但し両方同じサイズのダンボール箱の為に無理やり押し込みガムテープで留めます。かなりの強度になる事は間違いないです。
この方法は植木が大きくて通常のダンボールに入りきらない場合にも使えます。
あまり大き過ぎる植木は無理ですが、多少ダンボールからはみ出るくらいの物であれば収めることができます。
この状態であれば通常の荷物と変わらず運ぶ事が可能になります。
大きな植木に関して対策は難しい
箱に入りきらない植木は、そのまま運んでもらうしか方法がありません。
大きな植木がある場合には、引越しの見積もり時に営業マンにしっかりと確認しておきましょう。
各引越し業者はトラックに乗る量を安易に判断する場合があります。
とくに新人の営業マンの場合は植木の大きさだけで判断する傾向が高く、植木によるスペース効率の損失が出る事を把握できません。
大きさだけの合計値からトラックサイズを判断して、その結果引越し当日荷物が乗らない事や植木が無事に運べない結果になるのです。
安易に業者任せにする事はせず、しっかりとどの様に運ぶのか確認を取ることをお勧めします。本当に分かっていない営業マンが多く存在するのは事実です。
植木に対する注意点
引越し業者は原則ですが植木に対して枝折れなどの補償はしません。もし枝折れして困る場合は自分自身か専門の植木を取り扱う業者に依頼しなくてはなりません。
原則的には動植物に関しては特殊な管理が必要になるために、引き受けを拒絶することができるのです。「標準引越運送約款」に記載がある為参考にして下さい。
標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号)
第三章 運送の引受け (引受拒絶)
第四条 当店は、次の各号の一に該当する場合には、引越運送の引受けを拒絶 することがあります。 一 運送の申込みがこの約款によらないものであるとき。
二 運送に適する設備がないとき。
三 運送に関し申込者から特別の負担を求められたとき。
四 運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものである とき。
五 天災その他やむを得ない事由があるとき。
2 荷物が次に掲げるものであるときは、当該荷物に限り引越運送の引受けを 拒絶することがあります。
一 現金、有価証券、宝石貴金属、預金通帳、キャッシュカード、印鑑等荷 送人において携帯することのできる貴重品
二 火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼす恐れのあ るもの
三 動植物、ピアノ、美術品、骨董品等運送に当たって特殊な管理を要する ため、他の荷物と同時に運送することに適さないもの
四 申込者が第八条第一項の規定によるその種類及び性質の申告をせず、又 は同条第二項の規定による点検の同意を与えないもの
前日に水をやらない
植木に水をやってしまうと、引越し当日に植木から水が漏れ出して大変な事になります。
まずは水が染み出す事による他の荷物に対する汚損です。荷物が原因での汚損は引越し業者として補償はできないので注意してください。
水が漏れ出す事の弊害はダンボールの耐久性を著しく下げる事になります。ダンボールは水濡れには極端に弱い為に耐久性どころかダンボールが原型を保つ事が出来なくなり崩れてしまいます。
トラックの荷台の中でダンボールの原型が崩れるという事は、積み上げた荷物が崩れる事にもなりますので水漏れの無いように万全の注意を払う必要があります。
ビニール袋の活用
前日に水やりをしない事も対策としてありますが、完璧とは言えないかもしれません。より完璧な準備としては植木の鉢部分をビニール袋で包み込む事が予防対策には効果が高いのです。
市販のごみ袋を用意して植木の鉢自体をごみ袋に入れる形で包む事が効果的になります。間違っても梱包した状態のダンボールの上からビニール袋で包む事は水漏れだけには効果はありますが、ダンボール箱は水で崩れてしまいますので注意してください。
まとめ
植木に関しては見積もり段階で営業マンに確認をしっかりと確認するようにしましょう。
大切な植木であれば自分自身で対策の梱包をしましょう。引越し業者は枝折れ前提でしか運搬しません。
水漏れ対策をしっかりする事を忘れずに。引越し業者はそこまで考えていない場合がほとんどです。