メジャーであるテレビ番組「ガイアの夜明け」でアリさんマークの引越社が取り上げられました。取り上げられたと言っても良い意味ではなく悪い「ブラック企業」であるという事でのテレビ出演となります。
引越し業界ではこの出来事の行方がいったいどうなるのか注目されていますが未だ解決に至らないのが現実のようです。
労働問題の渦中である「アリさんマークの引越社」
当サイトでも何度か取り上げてきた「アリさんマークの引越社」の労働問題ですが非常に難しい問題といえます。
今回のアリさんマークの引越社で起こった問題は単純に労働時間が長いとか休日が少ないといった世間でよく聞く労働問題とはひと味違ってきます。
労働時間の問題に加えて作業中に起こった荷物の破損に関しての個人弁済や会社の車両で事故をした際の費用負担など様々な問題が入り混じっているのです。
「ガイアの夜明け」の放送内容はつぎの通りです
テレビ東京で02月09日放送された内容が「密着!会社と闘う者たち 〜"長時間労働"をなくすために〜」というタイトルでした。
その中で番組の半分近くの時間を割いたアリさんマークの引越社についての内容が放送されたのです。「引越社」のパート部分のサブタイトルは「長時間労働、未払い」を訴え...現役社員の闘いというものです。
正直な感想ですが番組を見るまではそれほど濃い内容ではないと思っていました。しかし実際には「アリさんマークの引越社」という実名も公表され副社長のインタビューも入る大掛かりな内容となっています。
もし見ていないのであれば見る事をおススメします。想像以上の内容であることは見て頂ければ分かってもらえると思います。
「アリさんマークの引越社」参考記事
引越し業界は総じてブラックである
アリさんマークの引越社を擁護する訳ではありませんが引越し業界はブラック業界として君臨しているといっても過言ではありません。引越し業界だけではなくトラックを使う業界全般の問題といっても良いでしょう。
運送業界は全般的に長時間労働であり休日数が極端に少なく低賃金と相場は決まっています。中には優良の会社もあると思いますがほとんどの運送系の仕事はブラックといえます。
それは運送という世界はいろいろな業種の末端であると認めざるを得ないからと言えるでしょう。いろいろな会社の経費で真っ先に削減される部分は「物流」といえます。
物流が無くては社会経済も成り立たない事は誰もが認める事実と言えますが、企業にとって生産性のない部分ともいえます。物流によって他社との差別化がされ売り上げが爆発的にのびる事はそう多くはありません。
あるとすればAmazonを代表するような通販サイトの商品が少し早く届くといったことしかありません。仮にAmazonの商品が1日遅れて配達されても本質的には困らない事が多いでしょう。
確かに1日でも早く届かなくては困る場合はありますが、一般的に考えても過剰サービスであると言えます。その代償は大きく作業環境は劣悪になり苦しむのは末端の従業員ということです。
これほどのサービスが通販サイトでは送料無料のことも多く、いったいどこから利益を絞り出しているのか考えると運送系で働く人の環境が改善されないことは容易に想像できます。
実際には物流がうまく回っているために経済は回ると言えますが「運送系」の会社は立場が弱いことも事実といえます。そしてそこに働く従業員の立場はもっと苦しいものでしょう。
運送は運搬するだけの価値しか認められない
物流が経済を回すのに必要であることは誰でも分かる事ですが、企業としては物を運ぶだけの仕事という考えしかありません。言い方を変えればいくらでも代わりの業者はいる業種です。
つまり運送最大手の佐川急便でさえ都合が悪くなればヤマト運輸や日本通運に鞍替えされるほど立場が弱いといえます。
今の日本ではいくら大手の運送会社であってもその会社しかできない事は殆んどありません。日本における国家が必要としているのは日本通運くらいなものだと思います。
日本通運は美術品をはじめ一般の運送会社では運ぶ事ができない鉄道輸送まで何でも運ぶ事ができます。「運べない物はない」と言われているのが日本通運というわけです。それはヤマト運輸や佐川急便にはまねの出来ない国家規模といっても良いでしょう。
つまり運送会社であれば日本通運以外であれば代わりの会社はいくらでもあると言われるのです。
引越し業者はどうか?
一般家庭の引越しに関しては特に専門性が必要ではありません。確かに経験が必要ではありますが特殊な選ばれた人材しかできない内容はありません。
つまり極論ですが引越しをする人材の代わりはいくらでもいる、引越し会社に関しても代わりの引越し会社はいくらでもあるという事です。引越し業者は全国に数百の会社があります。
その様な状況でひとつの引越し会社が他社より有利なことは何一つ無いといえます。そこには価格競争やクチコミだけで勝ち取ったシェアがあるだけで簡単にその牙城は崩れてしまうのです。
確かに良い人材を多くもつ引越し会社が最善であると思いますが、クルマや電化製品とは違い他社との差別化をすることはできません。スペックに表すことができないからです。
その為に他社に勝つには常識を逸脱した価格競争に勝つことが要求されるということです。個人の方が引越し業者を決める要素は「低価格」「好印象」「即対応」です。
とにかく引越し会社の良さなど分からないために一括見積もりをして「比較」することでしか判断できません。その判断も「価格」「好印象」くらいしか判断材料はないと言えるでしょう。
そこに他社より早く見積もりに来る「即対応」が重要になるのです。他社より遅く動いていては見積もりすら呼んでもらう前に終わってしまいます。引越し業界は「即対応」しなくては勝つことができない危うい業界であるのです。
今回の労働問題の行方は不透明
今回のテレビ東京放送の「ガイアの夜明け」は労働問題に影響を与えるのでしょうか?正直な個人的見解としては一矢報いる事はできたとしても大勢に影響はない状況にみえます。アリさんマークの引越社は現在も「通常運転」です、やはり力(お金)がある企業と個人では戦いが難しいと言えるのが現実かもしれません。
以前から問題視されていた飲食チェーンの「和民」に関しても亡くなった方が出たのである程度は追い込むことが出来ましたが「アリさんマークの引越社」では労働問題で自殺者などの亡くなった方が出ていません。一企業を追い込むには少し弱いといえます。
経済社会において重要視されていない業界の改善は難しいといえます。世界には問題が山積みである状況で国や誰かが本気でブラック企業を是正する動きなどあるとは思えません。
悲しい事ですが現実はかなり厳しいと言えるでしょう。ただ個人的には引越し業界の改善を強く思っていることも事実です。
今後の行方がどうなるのか予測は出来ませんが少しでも引越し業界だけではなく日本におけるブラック企業の状況が変わってほしいと思います。
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