引越しの見積もりをすると「午前便」と「午後便」の2種類あることが一般的です。
この2種類の時間帯の違いは料金差として考える事がほとんどですが本当の違いを考えて時間帯の指定をしないとあとから後悔することになります。
時間帯で料金が違う
引越しの時間帯は通常の引越しであれば「午前開始」と「午後開始」の2種類に分かれることが一般的です。
しかし時間帯によっての違いとはいったい何があると言うのでしょうか。メリット、デメリットは何があるのかを引越し屋としての立場から説明したいと思います。
料金差がある
一般的に言われる事として「午後便」は「午前便」に比べ料金が安くなります。
さらに安くなる時間指定ができない「フリー便」もありますが別の記事で詳しく説明します。
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引越し業者の営業マンが料金の交渉時に「午後便ならもう10%お値打ちにできます」というようなトークを良く使います。
ほとんどの引越し業者は「午後便」のほうが料金を下げて提案してきます。「午後便」の方が料金が高い事はイレギュラーな場合を除きほとんど無いと言えます。
つまり料金をお値打ちにしようとこちらが思えば、自然に引越し業者からは「午後便」の提案が出ると言っても過言ではありません。
安易に「午後便」にしてはいけない
特に支障が無ければ引越し料金が安くなるので「午後便」でも問題なさそうですが、実際のところ問題点は山積みと言えます。
引越し業者としても問題があると分かっていても「午後は問題がありますよ」なんて言いません。
もし言うとすれば「午後の引越しは若干遅れることがあるかもしれません、その為に午前便より料金をお値打ちにしますのでお得です」と、この程度のことしか伝えない事が現実です。
しかし実際に「午後便」は大幅な時間の遅延が発生することは日常的に起こっています。
引越し作業員もなれたもので、午後のお客さんには約束の時間前に遅れることを伝える連絡を入れます。
その遅れる連絡は、ほとんど毎日繰り返されるといっても良いでしょう。引越し業者としては午後の引越しは遅れる事が当たり前の通常運転ともいえるのです。
実際にかかる作業時間
引越し業者に伝える作業時間と、実際にかかる時間は違いがあります。
実際にかかる時間についてはこちらを参考にしてください。
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午後の引越しは開始時間をアバウトに伝える
引越し業者により作業開始の時間帯設定は異なりますが、一般的に午後便の時間帯の伝え方は次のような感じになります。
- 14:00~16:00 開始
- 13:30~14:30 開始
- 13:00~15:00 開始
時間の幅が1時間の場合もあれば2時間の場合もあります。状況によっては3時間以上の幅をもたせる場合もあるので注意が必要になります。
引越し業者と利用者側の感覚の違い
私たち利用者の立場で考えれば「14:00~16:00 開始」と引越し業者から指定された場合に考えることは「14:00開始」が基本になると思います。
仮に遅れた場合でも、最大で16:00開始の可能性が少しあると認識するのではないでしょうか。
しかし引越し業者の言い分として、16:00は当然のように約束通りの時間と考えています。
その為に17:00まで開始時間が遅れたとしても予定の14:00~16:00開始から1時間しか遅れていないという感覚であるのです。
引越し会社がそのように思っていなくても、当日作業にくる作業員としてはこの様な考え方が多くあるのは事実です。
作業員の言い分としては普通に作業しても午後の時間は間に合わないから仕方がないのです。引越し作業の予定の組み方は非常にタイトで時間通りにこなすのは困難を極めると言えます。
作業が遅くなる原因は客側にもある
引越し業者が「午後便」に遅れて到着する、原因の大半は客側にもあるといえます。
通常は引越し開始時にはダンボール箱へ小物の荷造りは、すべて完了しておく必要があります。
しかし「午前便」の顧客が引越し当日にもかかわらず、ダンボールへの荷造りが完了していない場合がすごい割合であります。
まさかと思われるかもしれませんが引越し当日まで、ほとんど荷造りもしていない客がいるのも現実です。
引越し業社が到着してから必死にダンボールへ小物を詰め込む作業をするのですから、当然ですが引越し作業は順調にいきません。
前もってダンボール箱への荷造りは完了しておく必要があるのにやっていないのです。
ひどい場合は空にしておく必要がある冷蔵庫の中にも、食品が満載に入ったままのこともあります。洗濯機にも洗濯物が入りっぱなしの場合もあります。
こんな状況では3時間で終わる予定の引越しでも倍の6時間かかることもあるのです。
本当に荷づくりしていない人が多すぎなんだよ
午後便は午前便の不備の影響をモロに受ける
この様に「午後便」は「午前便」の客しだいで、簡単に開始時間が数時間おそくなる場合があるのです。
しかしこの様な客に対して不備を未然に防ぐ事は出来ません。つまり「午後便」は順調に行くかどうかは「運」次第という訳です。
この様な事態が日常で起こるので、大切な顧客は午前便に組み込みます。
クレームが出そうな客に関しても午前便にて対応するのが、引越し業者としてはセオリーと言っても良いでしょう。
作業時間が遅れて困った実例
開始時間が遅れた場合におこる問題点としてはいろいろとあります。
まず多いことは不動産業者の立会時間が遅れることです。
引越し当日に空にした今まで住んでいた家屋の確認を不動産業者が行います。この時間は打ち合わせして決めているのですが大幅にずれ込むことになります。
新居での水道、ガスなどの立会いの時間も当然ですが予定より遅れます。
他にもエアコンなど電気工事の予定がずれてしまい、工事が進まず後日の工事に変更になることもあります。当日に行えても夜遅くまでかかることもあるので、非常に大変な思いをされるでしょう。
遠方まで引越しをする時にあったことは、飛行機の時間に間に合わなかったという事例もあります。飛行機だけではなく電車の時間に間に合わなかったというケースもありました。
小さなお子さんやお年寄り、妊婦さんがいる場合も大変な状況になるといえます。疲労は通常のスムーズに行えた引越しに較べても何倍も疲れることになります。
時間が遅れて困る場合は必ず「午前便」にする
多少時間が遅くなっても支障が無いのであれば「午後便」は料金的に安くなるのでとても魅力的といえます。
しかし、時間的に遅れては困る場合には必ず「午前便」にするようにしましょう。
小さなお子さんやお年寄り、妊婦さんがいるご家庭でも必ず「午前便」を選ぶほうが良いでしょう。
多少の料金差で「午後便」にして後悔した人はたくさんいます。こんなことなら「午前便」にしておけば良かったと多くの人は言います。
ただし「午後便」であっても時間通りに作業開始する場合も当然ありますので、料金が安くなる午後便で「運試し」をしてみるのも良いかもしれません。
引越しの見積もりアドバイス
引越しの見積もりの時は最初に「午前便」と「午後便」の料金差を聞くようにしましょう。午後のほうが安いのであればそのまま見積もりは「午後便」で進めます。
そして最終の決めるか否かの段階まで値引きが進んだ時に「午後便の料金で午前便になるのなら契約したいです」と言ってみましょう。
ほとんどの引越し業社はそこまで商談が進めば、午後便と同額で午前便にしてくれます。
もし無理と言われたなら他の引越し業者に「午前でこの金額なら決めます」と言ってみましょう、必ずOKをだす引越し業者はあります。
その為には引越しの見積もりはある程度、複数の業者を候補で出すようにすることが必要です。
1社しか見積もりをしないと、引越し業者は強気で営業してくるので注意しましょう。
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