今回は読者の方から引越し業界の顧客満足度=CS(カスタマー・サティスファクション)についてのコメントがありましたので私なりの考えをお伝えします。
引越し業界の顧客満足度(CS)
読者の方から頂いたコメントは以下の内容です。
リピーターになりにくい引越というものに顧客満足度を過度に求める事に意味があると思いますか?
アートでアルバイトして感じることは、あれだけCSをうたいながら、単価が取れず件数をかちこんでひどい引越になっていました。
資材管理も悪く、ドライバーと新人新人で大型現場をさせるなどです。もはやCSに特化するどころではないということです。
顧客満足度=CS(カスタマー・サティスファクション)とは
顧客満足(こきゃくまんぞく、英: customer satisfaction, CS)または顧客満足度とは、人が物品を購入するとき、その物品に感じる何らかの満足感のことである。顧客は顧客満足を感じたときに物品を購入するとの考え方で、企業においては、その度合いを定期的に評価し、次期商品開発に結びつけたりする時に使うことがある。
出典:ウィキペディア
正直なところ引越し業界で言う顧客満足度に関しては企業として宣伝効果でしかないと思います。
それも自社の内部で顧客満足度を向上させることが目的ではなく、「オリコン日本顧客満足度ランキング」で取り上げられるランキングの為に引越し会社は必死になっています。
引越しはリピーター戦略が難しいので、第一印象として万人から支持されている様に見える、オリコンランキングの「顧客満足度」がかなり需要であると思っています。
ただし「顧客満足度」イコール作業の良さでは無いので経営戦略の一環でしかないと言えます。
CMや広告にオリコン「顧客満足度NO.1」と謳うことができるのは経営戦略としては重要です。私も引越し会社の管理職時代は顧客満足度のタイトルが重要であると認識していました。
意味を成さない顧客満足度
従業員の教育に「顧客満足度」は意味を成すかと言えば、あまり意味はありません。
どんなに作業の良さを追求しても結局のところ引越し業界が薄利多売の構造を脱却できなくては無理やり現場を詰め込むことは無くなりません。
無理やり現場を詰め込めばどうなるかは想像通り、品質なんてあったもんじゃないです。
私も管理職時代に無理やり現場をねじ込むやり方が嫌いでしたが、そのような事を考えていては「売上」が上がらないので経営側としては失格という烙印を押されます。引越し業界はリピーター戦略などは考えずに無理やりでも現場をねじ込んだほうが勝ちです。
一瞬で役目を終える商品である「引越し」は結局のところ「安さ」が重要のため、最終的には作業の質など後回しになります。
「顧客満足度」とはどの口が言うのかと笑えた事もあります。
リピーターは不要論
引越し業界にはリピーターは不要です。
かなり暴走した理論のようですが、引越し業界のリピーターは質が悪いのは事実です。こんな言い方をすると怒られると思いますが敢えて言います。
引越しのリピーターは料金が激安な人がほとんどです。それは恐ろしいほどの激安ぶりです。利益の出ない金額で契約を求めてくるのです。
すべての人がそうだとは言いませんが、私の経験から言えばほとんどと言えるのは事実です。
リピーターは買い叩く
リピーターの存在はありがたい事です。以前は本当にそう思った時期がありました。リピーターの方はある程度の料金で引越しを任せて頂けることが多かったのです。
しかし現在になってインタネットの普及で情報過多になり一括見積もりが出来る比較サイトが見積もりの中心となってからは値引きを要求するのが当たり前となりました。
値引きをしないのは間違いだと、悪だと言いたいが如く「値引き、値引き、値引き」と求めてきます。
酷い時には「だって運ぶだけでしょ?どこでも一緒だから」と会心の一撃をもらいます。ありがとうございます(笑)
引越しには定価がありません、一応料金表ではありますがほとんど意味を成さないのです。リピーターの方からすると前回の料金が基準になります。前回の料金がどれほどの激安でもそれ以上の値引きを期待します。
引越し会社としてもリピーターを失う訳にはいかないので値引きの要求をのむ事になります。その結果、とんでもない料金にまで下落します。
値引きをしなければ「他社を聞くからいいよ」と呪文が飛び出します。
営業マンが口々にする落胆の言葉
見積もりに行く時に一番テンションが下がるのは「前回利用」であるリピーターの時です。
多くの営業マンは嫌がります。中にはとても料金的にも頂けた人もいますが、絶対的に前回より金額が下がるのは目に見えています。繁忙期などの引越し会社が有利な状況で無ければ前回より料金を上げる提案は至難の業です。
最近は前回利用の人でも一括見積もりで複数の引越し会社をすでに呼んでいます。1社だけで見積もりが終わることはほぼ100%無いと言えます。恐るべし「比較サイト」
時代は値引き、格安、激安、半額、50%オフなどが当たり前の戦国時代です。
顧客満足度を求めるが現場は混沌としている
投稿者さんの言うとおり忙しくなれば新人ドライバーと資材の名前も分からない新人アルバイトや今日はじめて引越し作業を経験する派遣の人などでチーム編成しています。
私の務めていた引越し会社は「すべて自社スタッフ」と大々的に謳っていたのですから「詐欺」だと思います。
他社の「派遣」使用を執拗につっこんだ批判する営業トークをするのに自社でも「派遣」を使うクレイジーさです。
なんか引越し業界はおバカすぎて疲れます。
顧客満足度はクリーンイメージの捻出
クレームばかり発生する業界をクリーンに見せるのが「顧客満足度」であると思います。ここで言う顧客満足度とは当然ですが会社の内部のCSのことではなく「オリコン日本顧客満足度ランキング」です。
どんぐりの背くらべでも一番になれば「顧客満足度NO.1」です。宣伝効果は抜群です。
それくらいしか他社との差別化ができない業界であるので「大手引越し業者」は必死に「顧客満足度」に走ると言えます。
まとめ
顧客の方を見ない引越し業界はすべての従業員のやりがいを消失させます。私もやりがいを消失して燃え尽きました。
当サイト「引越し屋さんは何を思う」は一番最初に始めるきっかけとして私の部下である従業員に幅広い知識を与える事と良い作業をするハートを持ってもらうことでした。
しかし届きはしませんでした。皆、毎日の生活に必死なのです、他人より客より自分です。当たり前ですよね。
そんなこんなで引越し業界の本質を小出しにしながら「引越し屋さんは何を思う」はボチボチと運営しています。