アルバイトの是非を問うことはナンセンスかと思いますのが、引越し業者を利用する側としてはアルバイトの存在はとても気になる事だと思います。
引越し会社はアルバイトが重要
引越し業界にいた方でしか分からない事ですが引越しは年間通じて行われているのです。毎日引越しの作業があり、引越しの行われない日は無いと言っても良いでしょう。
小さな地元中心の引越し業者のことは分かりませんが「大手」と呼ばれる引越し業者にとって引越し作業がゼロの日はありません。
ただし年間を通じて平均的に引越し作業はありませんので必要な人員には大きな高低差が発生します。
つまりアルバイトによって必要人員の調整を行う必要があるのです。このような事はサービス業に多く見られることで「アルバイト」の存在は最重要と言えるのです。
繁忙期は通常時期の2倍以上人員が必要
引越しが込み合う時期は簡単に考えて長期休暇の時です。
春休みや夏休みなどの時期は引越しの依頼も爆発的に増えます。特に春休みの期間は卒業・入学・転勤・入社・新築の入居などが重なり年間でも一番のピークとなります。
その数の増大は凄まじい物があり月間の売上は平常時期の3倍~4倍ほどになります。料金的に高くなる事は当然ですが引越しの件数が爆発的に増える事が要因となります。
当然の事ですが人員に関しては通常時期の2倍以上は最低限必要になります。アルバイトの休暇などを考えると通常の時期の3倍ほどの人員を集めておかないと繁忙期の引越しは対応が出来ません。
アルバイトで大丈夫か?
はっきり言って大丈夫ではありません。
特に繁忙期となる長期休暇の時に働くアルバイトは学生が殆どです、それこそ高校生も動員しなくては間に合わないほどの忙しさです。
しかし学生アルバイトの目的は何でしょうか?お客様に喜んで貰うことを目的に仕事を選ぶ事はありません。
一番の目的は「賃金の高さ」です、そして「楽しい」と言うことが学生アルバイトの求める最重要な選考要素となります。
引越しは想像以上に大変
アルバイトとして入社した学生はスグに辞めます、引越しは大人数で楽しく和気あいあいとするイメージを持っていますが実際のことそんな生易しいものではありません。
殺伐としていて体力的にも日頃の部活動よりも苦しく上下関係も凄まじいものがあります、ここは軍隊かと思うほど厳しい上下関係があるのは肉体労働では普通の事ですが、学生たちには入社前からそんな事は分かるはずは無いのです。
入社したアルバイトは数日間は死んだ目で帰ってきます、その想像以上の体力の消費と精神をすり減らすことに初めて肉体労働の社会に出ると言う苦しみを味わうのです。
学生アルバイトは早い者で入社初日の途中でギブアップをして帰ってしまう者もいます、嘘の様な本当の話しです。
苦しい状況で「お客様」の為に働くか?
答えは「NO」です、当然の事と言えるでしょう。学生アルバイトの殆どの者はこんなに厳しい仕事とは思っていません、実際にところ引越し作業だけでなく他の仕事でもそうですが「お客様」目線で仕事をしている学生アルバイトは僅かです。
特に春休みなど長期の休みに関してはその時期だけ働くアルバイトが殆どの為に質が著しく落ちるのです。実際のところ引越しの口コミを見ても社員は良かったがアルバイトの態度が悪かったというものが多く見受けられました。
特に破損に関しては意識が低く、破損を出さない事よりも作業をこなす事で精一杯となっているので結果的には破損が発生するのです。
不慣れなアルバイトは信じられないところで破損を出します。それこそダンボールを手に持って運んでいるだけで落としてしまう事もあります。荷物を乗せた台車を押しているだけで荷物を落とすこともあるのです。
本当に信じられない不備を起こすのが短期間で募集した学生アルバイトに多いのは引越し会社としても悩みどころですが、忙しい時期に学生アルバイト無くしては引越し作業が成り立たないのも事実です。
アルバイト求人は「引越し会社」で埋め尽くされている
アルバイト求人サイトで「引越し」を探すとかなり多くの引越し業者が求人広告を出しています。
アルバイト求人の「バイトル」で確認するだけでもすごい数が確認できます。他の求人サイトも合わせると凄い数になるのが分かると思います。
引越し業者としては人員確保が最重要項目になります、高校生の募集もありますのでどれだけ引越し業界がその場しのぎの人員が欲しいか分かるのではないでしょうか。
アルバイト求人広告 出典:バイトル
短期の学生アルバイトで品質が良くなる事はない
当たり前の事ですが品質は上がらないと言えます。人間的に否定しているわけではありません、人間的に言えば学生アルバイトの方が真面目な方が多いので仕事に慣れて貰えば非常に良い戦力になります。
しかし学生アルバイトで長期間を引越しのアルバイトをしてくれる方は少ないことが現実です。学生は学校が優先であり試験や友人との付き合いなどがあればそちらを優先します。
多くの日数を働く必要はない
特に引越しのアルバイトは時給単価も高く短期で稼ぐことが可能のため、無理をして多くの日数をアルバイトにあてる事はしないのです。
学生からすると必要なお金が稼ぐことが出来た時点で趣味などに時間を使いたいのです、毎日をアルバイトに費やしたいと言う学生アルバイトは少く、その事が質の良いアルバイトが少ない要因のひとつとも言えるのです。
引越しのアルバイトは仕事が少ない時も多くあり必要な日にちにムラがありますシフトを組みにくいと言うデメリットがあるため、多くの学生アルバイトとしてはシフトが安定している他の業種のアルバイトに移ってしまうのです。
ベテランが少ない作業は品質が劣る
当たり前の事すぎるのですが「ベテラン」がいない引越し作業は品質が良くなるはずはありません。この事は引越し業界の永遠のテーマであり一番の問題点と言えるのです。
それでは繁忙期と呼ばれる3月~4月にかけての引越しはどうかと考えると自ずと答えは出ると思います。
質の低い作業員が必ず居ると認識する
引越しを依頼する側で出来ることは正直ありません、全員正社員でお願いしても無駄な事です。それこそ「我が社はすべて社員です」と応える営業マンが居ることは事実ですが、大手引越し会社で全員社員で来ることはあり得ません。
あるとすれば新人社員にベテランが着いてた場合や、当日の引越し作業が突然無くなって社員が余ってしまう為に時給が掛かるアルバイトと差し替えて社員が来るなどの特殊な場合のみとなるでしょう。
基本的にはそのようなイレギュラーはありませんので各自で対策を練るしかないのです。しかし対策と言っても良く見ているしかありません。
経験の乏しいアルバイトはスグに見分けが付きます、そのアルバイトを徹底的にマークして監視するしか客としての立場では出来ることは無いと言えます。
目を光らせれば作業員も注意して作業します、間違っても作業を見ない事をしてはダメです必ず隅々まで見て回る事で引越し作業員は「この客は要注意」と認識するのです。
嫌な話ですが引越し作業員は「子供」であると考えましょう、子供は目を離すとスグに適当な事をします。それこそ分からなければ良いだろうと思い不適切な事をするのです。
中には素晴らしい引越し作業員も多くいますが学生アルバイトやフリーター、派遣までいますので気を抜かないようにしましょう。
これだけクレームが多くても成り立つ商売
口コミを見ていただいても分かると思いますが利用者からクレームや不満が多い業界です。それでも成り立つのは不思議とも言えますがなぜでしょうか?
それほど年間を通じて使う機会がないので成り立っていると言えるでしょう、生活に密着している商売であればこれだけのクレームが発生しても成り立つ事はありえません。
飲食店やスーパーで例えるのなら頻繁に食中毒を出しているくらいのクレームは日常茶飯事で起きています、しかし飲食店やスーパーではありませんので大きく問題になる機会もありません、飲食店であればすでに潰れているでしょう。
まとめ
引越し業界はお客様の大切な荷物を運ぶと認識した人材が少ないことが一番の問題点です。
しかし従業員個人の問題では無く雇用に対する問題点が大きくあると言えるのです。莫大な人件費に対してこれだけ薄利多売になれば利益もあまり出ません。
その為に無理な行程での引越しや1日に請け負う引越し作業の数を増やさなくてはならないのです。1日1件の引越し作業では赤字になるため1日に2件~4件の引越しをすることを余儀なくされています。
作業員は疲弊するだけで良い引越しをする時間さえないのがホンネの部分と言えるでしょう。その状況下では今後引越し業界で頑張っていこうと考える社員以外にとって、日々の引越しをこなす事で精一杯になり学生アルバイトでは気持ちなど入れる余裕は無いのです。
この当たり前の図式を理解して頂ければ引越し作業を監視する必要性はご理解頂けると思います。
非常に残念な事ですがこれが引越し業界の現実であるのです。