天候についてはよく質問があります。「明日、台風ですけど引越しはありますか?」とお客様からの連絡が頻繁に入ります。
極論を言ってしまえば台風の場合でも引越しは決行します。余程トラックを走らすことが困難な場合を除けば引越し業者としても中止することはありません。
その理由として引越し会社にとってメリットが無いためと言えます。
台風とか大雪って、引越しするの?
テレビでは台風のニュースが引っ切り無しに流れています。当然ですが一般の人からすると引越しが中止になるのではないかと思うはずです。
しかし現実は、どんな大雨でも決行です。
大雪でも決行です。
基本的に悪天候でも強行突破が基本
正直な事を言いますと、延期にしたいです。しかしその事を決めるのは依頼主となります。引越し会社としては、こちらから「台風のために延期になります」とは基本的に言いません。
それは、お客様には予定があり、その日しか無理だという方が大勢いるためもありますが、基本的に会社にとっての利益とスケジュールによるものと考える事ができます。
台風のためにその都度、引越しを日延べや中止していては商売になりません。引越し業者は1日に数件から数十件の引越しを行います。
それこそスケジュールが綿密に組まれている状態で、突然予定が抜けてしまうと損失が出ます。従業員は引越しにあわせて必要人員を出勤させる方法をとっています。
アルバイトに限っては引越しに対しての必要数を調整して出勤させています。そのような状態で引越しが突然なくなれば従業員の仕事は無くなります。
しかし会社としては給与(時給)を払わなくてはなりません、その為に天候の悪化のために引越しを順延することや中止にすることは極力防がなくてはならないのです。
そして順延した引越しは近日中に実施する必要があり、アルバイトなどの従業員を再度順延した引越しのために余分に出勤させる必要が出てきます。これはかなりの損失となると言えます。
「台風がきているので日延べをしたい…」と依頼主から連絡があっても
「大丈夫ですよ!プロが作業しますので安心してください!」と説得をし、引越しを予定通りに行うことが店の管理職に必要な仕事(スキル)といえます。
従業員は大雨の日に引越しを避けたいのは本心
台風の時に引越しするのは危険です、風で荷物は飛んでいく可能性も高く、雨で荷物も家屋もビショビショになります。はっきり言っていい事は何もありません。
荷物も家屋も傷つく可能性が飛躍的に上がります。危険を犯してまで引越しはしたくないのが従業員としてのホンネです。
台風の時に引越しをしたくない、それが従業員の本心なのです。
そこで「日程を変更したいのですが…」と連絡があると、ホッとします。客としての目線や引越し作業をする従業員の目線から考えれば台風の時は引越しを行わない方が賢明です、メリットはひとつも無いと言えます。
ただしスケジュール的に引越しの日程を先延ばしすることは難しい場合がほとんどです。台風でも引越しを強行するしかない人の方が多数と思います。
契約上キャンセル料はかかるのか?
通常であれば依頼主の都合によるキャンセル及び順延について、一定の割合でキャンセル料が請求されます。
通常のキャンセル・順延の場合
- 引越し前日 見積書に記載した運賃の10%以内
- 引越し当日 見積書に記載した運賃の20%以内
ただし地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災による場合は依頼主(荷送人)に責任が無いとみなしキャンセル料が掛からない場合があります。
実際に私の勤めていた引越し会社(大手引越し会社)は台風による順延に対してキャンセル料を取る事はほとんどありませんでした。
しかし引越し会社によって判断が変わるので、しっかりと確認するようにしましょう。約款の中を見ても厳密に言って台風の時にキャンセル料が掛からないと明記した部分はありませんので注意が必要です。
台風に関して言及しているのは約款の中で黄色のマーカーを引いた部分の解釈次第という事になります。この部分を考えると台風(暴風雨)での延期や中止は荷送人(依頼主)に責任がないと捉えることができます。
国土交通省告示「標準引越運送約款」のキャンセルについて
○ 標準引越運送約款(平成二年運輸省告示第五百七十七号) 最終改正 平成十五年 国土交通省告示第百七十号
(解約手数料又は延期手数料等)
第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
2 前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
一 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の十パーセント以内
二 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積書に記載した運賃の二十パーセント以内
3 解約の原因が荷送人の責任による場合には、解約手数料とは別に、当店が既に実施し、又は着手した附帯サービスに要した費用(見積書に明記したものに限る。)を収受します。
4 第一項ただし書の規定は、前項の費用の収受について準用します。
地震、津波、洪水、暴風雨、地すべり、山崩れその他の天災による場合は引越しの延期や中止の判断をしても当然であり不可抗力と考える事ができます。
「延期の原因が荷送人の責任によるもの」では決してありません。
警報が出ている台風などによる延期やキャンセルを行うのは一般的な常識ともいえるので、通常はキャンセル料は発生しません。
もしキャンセル料を求める引越し業者があるとすれば、言い方が悪いかもしれませんが悪徳業者と考える方が良いでしょう。
日延べは双方の損失でもある
まあ、私個人の意見としては、無理して作業しても大変なので、日延べにした方が良いと思いますが、その日に引越しをしなくてはいけない方がほとんどになりますので、難しいかと思います。
実際お客様も「日延べしたいけど、今日しかないからね…」とぼそっと言います。本当に損失は誰にあるのか、決行する事が良いのか、日延べする事が良いのかは、何とも言えません。
しかし、ひとついえる事は、どの様な場合でも台風や大雪などの天候は、誰も得をしないと言う事ではないかと。
日延べをする方、決行をする方、そしてどちらの場合でも引越し業者も、誰も得したものはいないという事ではないでしょうか。
引越し業者にとって、当日の日延べは目に見える損失となりますが、本質的には事故や破損を回避できます。
結果的にお客様の満足度は上がり、日延べした事による本当のメリットの方が大きいのではないかと思います。
まとめ
台風によるキャンセルや順延は少しでも早めに引越し業者へ連絡して確認しましょう。引越し業者としても判断を引越しギリギリにされるのも大変困ります。
良い方法として「警報が朝6時までに解除された場合は決行」など、お互いに取り決めをすることも必要です。実際に多くの引越し業者では見積書に記入欄があるので確認しておきましょう。
気遣いのある良い引越し会社であれば事前に「変更される場合は引越し当日の朝6時までに連絡をください」など注意を促してくれます。
しかし全ての引越し会社で行われる訳ではありません、最終的には自分自身で引越し会社に確認をすることが大切です。
警報が出るレベルの天候の場合はキャンセル料が発生しない場合がほとんどです。ただしすべての引越し業者がそうとも限りませんので、料金面でも必ず確認をする様にしましょう。
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