新築を購入しての引越しは多いと思いますが、新築には傷がないという事はありません。
公式な見解として言ってしまうと問題がありますので、私個人の見解として捉えて頂ければと思います。
新築の家でも傷は必ずある
実際の引越しに伺った新築の家でキズが皆無な家は1件も見たことがありません。
こんな言い方をすると不動産会社に騙されているのではないかと勘違いをしないで頂きたいのですが、正直にいってどんな製品でも多かれ少なかれ傷はあるものなのです。
日本における現代は「商品には傷は無い」という考えが普通にあります。当たり前と言えば当たり前なのですが、家はどうなのでしょうか?傷一つ無く作ることは出来るのでしょうか、はっきり言って無理だと思います。
家を造るという事は色々な材料を使い、色々加工をしながら作り上げていくのです。フローリングの床も良く考えて頂きたいのですが「木」です、木材なのです。
加工して表面をきれいにすれば傷は無くなるとは思います、しかし家を造る段階でキズが付いたり家が完成してから傷つく事も多々あります。それこそフローリングの上を歩けば傷も付くと思います。
家具を置けば床にはキズが付きます、冷蔵庫など家庭用の物は100キロ前後の重量になります。そんな物を置いて傷が付かないはずは無いのです。
リビングにテーブルとイスを置けば普通に考えてイスの下は傷付きます。
生活すれば常に傷が付いていきます。
引越し屋が傷をあまり指摘できない事情
引越し業者として新築のキズを完璧にすべてチェックすることをしていては半日かかってしまいます。
それはなぜかと言うと必ず傷があるからです。探せばすぐに見つかるのです、しかし我々からして普通の事なのです。想像して頂きたいのですが建築現場を考えてみて下さい、傷一つ無しで作業が出来ると思いますかという事です。
無菌室でコンピューターを使いロボットで組み付ける精密部品を作っている訳ではないのです。
私たち引越し業者は傷の指摘をあまりやり過ぎると不動産会社に迷惑をかけます。ほとんどの方は小さな傷は許容範囲に考えています、しかし指摘をあまりしてはプロの引越し業者が指摘したという事で、お客様は不安になり不動産業者にクレームを入れる結果になります。
大きな傷を見つければ指摘をする場合もありますが、それ以外は引越し業者もあえて見つける事はしません。
小さな傷は普通にあるのです。
小さな傷とは
ここで勘違いしてしまうといけないので説明します。
「小さな傷」とは爪の先で引っ掻いた1,2センチ程度の擦り傷の事です。光の反射具合で見えたり見えなかったりするレベルのことです。エグレている様な傷はさすがに初めからですとは言えません。
何でも「許して下さい」と言っている訳ではないのです。
物には程度があり、ある程度の事は常識的な範囲で考える必要があると言うことです。傷をつけて良いという意味ではありません。ただ家屋と言うものは生活するための道具であるという事です。
横暴な業者は断罪されるべきだと思います。しかし努力をして注意を十分払って運搬した業者に対して、顔を10センチ程までに近づけ屈んでしか見えない「小さな傷」を鬼の首を取った様に責めるのはどうなのかと思います。
我々引越し業者に対しての場合もありますが、施工時の不動産業者に対して烈火のごとく責めている方を時折見かける事も事実です。
この様なトラブルがあると考えさせられます。「小さな傷」を見つけるために1,2時間頂ければ相当な数が見つかるでしょう、しかしその傷は指摘するレベルなのかをいつも考えてしまいます。
気持ちよく引越しがしたいです、お客様とお互い笑顔で終わる引越しが嬉しいです。
その為には、今までお伝えすることが「タブー」とされている「小さな傷」についてお伝えできればと思いました。
何千万円かで購入した新築の家ですから、傷が無いことが理想であることはゆるぎない事実です。しかし家は暮らしの「道具」であるという事も忘れないで頂きたいのです。