引越しの時に洗濯機の取り付けを「サービス」でしますという業者があります。
しかし、ハッキリ言って「サービス」作業ほど怖いことはありません。特に電気工事と呼ばれる洗濯機の取り付けを、シロウトである引越し作業員が取り付けることにより、トラブルになるケースがあとを絶ちません。
安易に「無料」という誘惑にのって、安い業者と契約しないようにしましょう。
今回はそんな無料で行った「サービス」作業による、大クレームになった事例を紹介したいと思います。
電気工事の資格のない引越し作業員による洗濯機の取り付け
最近はかなり減って来ましたが、以前は洗濯機の取り付けは引越し作業員が行う作業の一部であったのも事実です。
電気工事の資格もない引越し作業員が、水回りの取り付けや危険なアース線の施工までするなんて今では考えられないことです。
現在は大手の引越し業者でそのようなことをするのは、ほとんど見かけなくなりましたが、完璧にゼロとは言い切れません。
見積もりの金額を低く提案したいがために、営業マンが無理やり「サービス作業」という名を使い、作業員にやらせることが横行している業者もあります。
作業員による洗濯機の取り付け作業の弊害
無料という点ではオトクと感じるかもしれませんが、その危険性は理解しないといけません。
なにが危険かというとつぎの3点が挙げられます。
- 給水部分からの水漏れ
- 排水部分からの水漏れ
- アース不備による危険
1.給水部分からの水漏れ
洗濯機などの水回り製品は取り付けの際には必ず、パッキンを新品に取替えします。
これは当然に行われることで、プロとして交換しないで洗濯機を取り付けることは常識外の異常事態とも言えます。
パッキンとは柔軟性を持たせた部品になりますが、一度使用すれば当然のこと劣化してしまいます。
そしてパッキンはその接続状態の形状に変形することにより隙間を完全にうめるのです。そのため二度と元の状態には戻ることはありません。つまりは使い捨てといえます。
そうすることにより強い防水効果を発揮するので、水漏れなどの事故を防ぐことが出来ます。
しかし、引越し作業員が無料で行う取り付けは「パッキン」を交換することはありません。あくまでもサービス作業という名目なので、簡易に取り付けをするだけであるのです。
水漏れはその場で確認して問題が無ければ、その後の事故は補償対象外となります。あとは自分で責任を持って見ておいてね、ということです。
そんな状態で作業を完了してくるので、クレームはとても多く発生しました。しかし引越し業者の対応としては、「サービス作業につき保証対象外」ということで終わらせます。
補償が欲しかったら金を払えと言うことを、後から突きつけられるのです。契約するまではあんなに一生懸命に営業をしていたのに、終われば「サービス作業」については一切対応はしません。
蛇口との接続部分のパッキンを交換しなくては、その場では騙し騙し使えたとしても、後から高確率で水漏れがしてきます。その点を理解しての無料作業であるなら、お得と考えることもできるかもしれません。
2.排水部分からの水漏れ
これはかなり注意が必要です。
最近の洗濯機は大型化が進み、排水口が洗濯機の下に来る場合が多くなりました。そのため洗濯機を設置した状態では排水部分が見えません。
つまり大量に水漏れを起こしていなければ気がつかないという事です。昔の洗濯機を設置する場合には排水パン(防水トレイ)と呼ばれるトレイがありました。
万が一水漏れを起こしても、排水パンに水が流れるのでフローリングに直接水が掛かることはありません。
しかし、現在の多くの物件では美観のためなのか分かりませんが、排水パンのない状態が通常となりました。
つまり水漏れイコール、フローリングを傷める状況ということになります。
クレームの多い洗濯機の水漏れ
そんなことは有り得ないと思うかもしれませんが、わたしが引越し会社の管理職時代には水漏れのクレームはとても多くありました。
その中でも、排水漏れクレームは数十万から数百万規模にまで修繕費が掛かったことがありました。
どのような状況であったかと言うと、洗濯機の排水管から少しだけ水漏れがしていたのです。しかし少しの水漏れのために住人はまったく気がついていなかったのです。
そして引越しから数ヶ月が経過した時に発覚した時には、フローリングが腐っていたのと同時に、建物の基礎部分まで侵食していました。
当然ですが大クレームとなり、建物の補修費用を支払う結果になったのです。しかしこの時の作業が「無料」のサービス作業であったので引越し会社としては、この弁済を一旦は認めませんでした。
しかし、不動産会社からのクレームも入ったために補償を行うことに落ち着いたという事です。
こんなことが自分自身に降り掛かったらと思うと怖くて、絶対に電気工事の専門による取り付けをする必要を感じます。
3.アース不備による危険
アース線の設置による事故は基本的に起きていません。
しかし、万が一の漏電による人体に対しての感電が考えられるので、必ず施工する必要があります。
水周りの施工と違い線をつなぐだけと難易度は低めなので、現在に至るまでクレームらしいクレームは発生していない現状です。
ただし漏電に対する被害はある意味水漏れよりも危険なため、しっかりと施工する必要があります。
まとめ
引越しの見積もりは各社の値引きが激しく、こちらも感覚がマヒしてきます。
しかし、安さに釣られて大切なことを見落としてはなりません。
今回は洗濯機の施工について触れましたが、このような重要な部分を、電気工事に関してシロウトである、引越し作業員に行わせるような業者は利用しないほうが懸命だと言えます。
そのようなサービスを軽んじる引越し会社や営業マンと契約を結ぶことがないように、いろいろな引越し業者を比較する必要があります。
複数の引越し会社を比較するのは大変ですが、大切な家屋と家財を守るためには、しっかりと業者の選定を行いましょう。
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