引越しの見積りの時に「他社さんと同席でもいいですよ」と言われる事があります。「同時に呼んだ方が効率的ですよ」「皆さんも同席にされてますよ」なんて言い回しもあると思います。
この同席とは何でしょうか?普通なのかを考えていきます。
同席で良かったと答える方はあまりいません
まずはじめに、引越しの見積り時間は平均して1時間ほどはかかります。仮に5社同席しての見積りならば単純計算で5時間は必要という計算になります。
その5時間の見積りを1件分の時間でこなすことは不可能です。同時進行すれば良いのではないかと思うかもしれませんが、それも不可能です。
常識的に考えて頂きたいのですが、引越し会社が5社目の前に居る状況でいったい誰と話をするのですか?
1社しか話せないと思います、5社いれば引越し業者からの質問も5名からあります、回答も5社分回答しなくてはなりません。
同時進行はむり
どんなに優れている方でも無理だと思います。
同時に進めて行く場合はプランの提案なんてありません、お互いに聞く時間、考える時間がないのです。その結果どの業者も同じようなプランを出して、金額だけ提示することになります。
荷物が少なく、大切な物も無いような小さな引越しなら構わないと思いますが、自宅に訪問してきているという事はそれなりに荷物が多いからだと思います。
その状態で大切な引越しをお願いするのに、ただの値引き競争をさせるだけの見積りでは後悔することになります。
想像することです、5名に我先にと話しかけられて対応が出来るのかを、そんな見積りを望んでいるのかを。
見積もり当日に気付く
同時進行の難しさは見積り当日気付くはずです、同時進行は無理だと。
その結果、結局1社ずつ聞いていくのです、その他の業者は待たせる結果になります。最後の業者は諦めて帰るか、待っているのにかかわらず、もう決めたからと帰ってもらう事もあります。
見積りを頼んだ側も罪悪感にかられます。目の前で業者が戦っていて気分が良くなる方は問題ないとは思いますが、大半の方は二度と同席の見積りはしないと言います。
引越し業者はなぜ同席をすすめるのか?
完全に業者都合です。
お客様の事を考えてではありません。引越し業界の見積りはいかに早くに見積りに入った業者が有利だからです。
ほとんどのお客様は1件目か2件目で決めます、遅くとも3件見積りを取ればそれ以降の会社はもう面倒になり断ります。
だからこそ他社より先に入る為に努力をしているのです。その努力は、見積り依頼から極力早くに見積りに伺う事、他社より10分でも早く入る事、そして早くに入れないのなら同席に持っていくことです。
同席は最終手段なのです、他社より早く入れない引越し会社が負けない為の手段なのです。5社目に見積りに行く予定の場合はほとんど行く直前に見積りのキャンセル連絡が入ります。
5社目では話すら聞いてもらえない場合がほとんどなのです。
そこから生まれた対応手段なのです。同席に持っていけば行く前にキャンセルが入る事はありません。
だからこそ引越し業者はお客様に面倒を減らすことが出来るとメリットを訴え、同席にするのです。しかし、ほとんどのお客様にメリットなどはありません。
なんかここまで書いてしまうと引越し業者から怒られそうですが、私も現役の引越し業者です。このタブーの様な事を書いているのは考えて頂きたいからです。
だれのための見積りなのかを、商売で勝てなくては話にならない事は分かりますが、こんなやり方で胸を張った商売が出来ないと思います。
自分で自分の首を絞めているような事ですが、もっと有意義な見積りをした方が良いのではないかと思い、一石を投じさせてもらいました。
反論はあると思いますが、あくまで私個人の考え方です、ご了承下さい。
結論
見積りの同席はメリットなし。
せっかくの良い営業マンを埋もれさしてしまう結果になります。
相談できる営業マンを探しましょう。